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9割超が“行使せずに残留” プロ野球「FA制度」はなぜ使いにくいのか



[st-kaiwa2]掲載媒体:なんJスタジアム
9割超が“行使せずに残留” プロ野球「FA制度」はなぜ使いにくいのか[/st-kaiwa2]

転載元: https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1603940388/

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1: 征夷大将軍 ★ 2020/10/29(木) 11:59:48.93 ID:CAP_USER9
世界のプロスポーツで「フリーエージェント」という制度が最初に誕生したのは一九七六年、アメリカのMLBだった。NPBでは遅れること17年、1993年オフに導入された。

ただし、日米の「フリーエージェント」には決定的に異なる仕組み(思想)がある。「Free Agent」という英語が意味するのは、「自由契約」だ。NPBで使われている自由契約という言葉には、まるでクビになったかのようにネガティブな意味合いが含まれている一方、MLBのそれは文字どおり、選手が自由に契約できることを意味する。8軍からなるMLBでは、1軍にあたるメジャーリーグに6年在籍すれば選手と球団の契約は満了となり、選手は“自動的”にFAになって移籍先を自由に探すことができる。

対してNPBの場合、高卒は8年、大卒・社会人出身は7年の1軍登録日数に到達すれば国内FA権を取得できるが(海外FA権はいずれも9年)、それだけでFAになれるわけではない。FAになることを選手自ら「宣言」しないといけないのだ。

「宣言させるのは、選手への“踏み絵”ですよね。2018年だったら丸(佳浩/広島→巨人)や浅村が自チームに仇(あだ)をなしたということに、形上はなるじゃないですか」
かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や広島東洋カープ、西武でプレーし、現在プロクリケット選手として活動する木村昇吾(きむらしょうご)は、自身がFA宣言したときの経験を踏まえてそう話した。

英語をカタカナの“和製英語”に変換し、本来の意味を曲解するのは日本人の悪い習性である。「Free Agent」が「フリーエージェント」へと日本球界独自の定義をなされた際、なぜ、選手に「宣言」させるというハードルがあえて加えられたのだろうか――。

それならば……と思って自分自身で取材を始めると、想像をはるかに超える難問が待っていた。FA制度が成立したのは25年以上前の話であり、当時の関係者たちはほとんど球界を去っている。すでに鬼籍に入っている者も少なくない。

長期戦を覚悟して取材を続けると、数人のキーマンに出会えた。そして、FAという制度に込められたさまざまな思惑や、「導入ありき」で検討された悪影響が浮かび上がってきた。

「FAの権利をとるまでは『楽しみだ』と言っていた選手が、『とってみたら使いにくく、ガッカリした』と言うのをよく聞いたりします」
そう話したのは、日本プロ野球選手会の事務局長を務める森忠仁(もりただひと)だ。森自身、阪神タイガースで6年間プレーしたことがあり、選手たちの気持ちはよくわかるはずだ。

毎年秋になるとファンの注目を集めるFAだが、一部のトップ選手しか権利を行使していないのが実情である。2019年には72人の日本人選手が資格を取得したものの(引退、戦力外、自由契約、退団は除く)、FA宣言したのはわずか六人で、九割超に当たる六六人が「行使せずに残留」を選択した。この事実は、FA制度の“使いにくさ”を何より物語っている。
選手会は当初、1軍と2軍を合わせたプロ野球選手の「全員」を対象として、自由に移籍できる権利を求めて行動を起こした。にもかかわらず、これほど使いにくい制度がどうしてでき上がり、現在も大きく変わらないまま運用されているのだろうか。

選手会がそう考えて2019年に提案したのが現役ドラフト(ブレイクスルードラフト)だった。詳しくは第3章で述べるが、「出場機会を与えられないまま2軍で燻ったままの選手が、チャンスを得られるような制度をつくってほしい」という趣旨での提案は、球団側から骨抜きにされようとしている。2020年1月にNPBが選手会に逆提案した内容を見ると、対象とする選手を「戦力外通告の当落線上にいるような者」と限定したのである。クビになりそうな選手を他球団に移すだけでは、わざわざ新制度を導入する意味は薄い。それでは現役ドラフトの本来の意義が大きく損なわれかねない。

「完成形ではなく、やってみていろいろ調節する部分が出てきてもいい」
選手会長の炭谷銀仁朗(すみたにぎんじろう・巨人)は前年12月にそう話したが(2019年12月6日付の産経新聞電子版より)、条件を妥協して導入を決めてしまえば、FA制度と同じ末路をたどりかねない。NPBのように旧態依然とした組織では、一度決められた制度を抜本的に修正するのは極めて難しいからだ。FA制度が「使いにくい」まま運用されつづけていることが、何よりの証左だろう。

同じ過ちを二度と繰り返さないためには、過去の検証が不可欠だ。選手たちが自由に球団を選ぶことができ、今より輝くことを見据えて導入が検討されたはずのFA制度は、なぜ、こんなにも球団有利に設計されるに至ったのだろうか。
(長文の為一部抜粋)

文春オンライン 2020.10.29 https://bunshun.jp/articles/-/41126

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